Technical Explanation減衰力調整のススメ
カントリーサスペンションの中には、減衰力調整が可能なショックアブソーバーがラインアップされています。
調整ダイヤルを回す事で、ショックアブソーバーの減衰力を強くしたり弱くしたりする事が可能です。
いろいろな路面状況に応じて気軽に調整して、是非減衰力の変化を体感して、楽しんで頂きたいです。
今回は、減衰力の変化によって車体の動きがどのように変化し、走りにどう影響するのかを説明していきましょう。
1.減衰力とは
自動車のサスペンションの多くは、スプリングとショックアブソーバーで構成されています。
走行中に路面等から受けた振動や衝撃をスプリングが吸収し、スプリングの振動をショックアブソーバーが吸収することで、振動を収束させています。
ショックアブソーバーによるスプリングの振動を収束させる力を「減衰力(げんすいりょく)」と言い、減衰力を任意に変えることで、体感的なサスペンションの硬さを変化させることができます。これが車の乗り心地の良し悪しにつながります。
そもそもショックアブソーバーとは具体的にどのような働きをしているのか、解説していきましょう。

2.走行性能への影響
①直進時の段差乗り越え
ショックアブソーバーの減衰力が弱いと、段差による車体の上下の揺れがなかなか収まらず、柔らかくてフワフワした乗り心地になります。全体的に緩い動きとなる印象です。
減衰力が強くなるとスプリングがあまり縮まず、硬いゴツゴツした感じがします。スプリングが縮むというより跳ねているかのような感覚です。
適切な減衰力に設定することで、段差の衝撃を優しく吸収した後、素早く揺れを収めることが可能です。

②オンロード
コーナリング時や加減速時にはどういう影響が出るのでしょうか。
車体の左右の傾きのことを「ローリング」といいます。
ロール量を決めるのはスプリングのバネレートですが、ロールスピードに影響するのがショックアブソーバーの減衰力です。
減衰力が弱いとロールスピードは速く、弱すぎるとふらふらとコシが無い印象を受けます。
減衰力が強いとロールスピードは遅くなります。速い速度で曲がった時でも踏ん張りが効くような印象を受けます。またステアリングの反応が敏感になります。
また、車体の前後の傾きを「ピッチング」といいます。
減衰力が弱いとピッチングの変化が大きく、車体姿勢を安定させるのが難しくなります。またピッチスピードも早いので前後に揺られ、車酔いしやすくなります。
減衰力が適切に設定されていると、タイヤにゆっくりと荷重を伝える事が出来るようになり、前後荷重と車体姿勢をコントロールしやすくなります。

③オフロード
四駆が走る場所は平坦な道ばかりではありません。斜面やモーグルを走行している時にもショックアブソーバーは重要な役割を果たします。
路面の傾斜が急で、車体が横に傾いたときに、安定して踏ん張れるかどうか。
車体の揺れ戻しが大きくなると横転の可能性も高まります。
また、ダート路面ではショックアブソーバーの減衰力が強すぎると十分にトラクションが掛からず、タイヤのグリップが抜けてしまいスリップしやすくなります。
