レースレポート第27回・SAFカップ/2021
毎年恒例・さなげ(S)アドベンチャー(A)フィールド(F)のトライアル競技
4WDの魅力を存分に味わえる中地区有数の本格オフロード専用コース「さなげアドベンチャーフィールド(愛知県豊田市)」。2021年12月5日(日)、毎年恒例の4WDトライアル競技イベント『SAFカップ』が開催され、全63台のエントラントが全国から集結した。
4WDトライアル競技を簡単に説明しておくと、激しいアップダウンや岩場などの各セクションをいかにスムーズに通過できるかを競う競技だ。各セクションごとに点数が設定され、車両がコーステープに触れたりバックしたりするたびに減点される方式となる。
SAFカップでは参加する車両に特に規定はなく、ホイールベース別にショート、ミドル、ロング、それぞれのクラスに分けられる。エントリー車両の内訳は、ジムニー20台、ランクル34台、サファリ4台、ラングラー5台、という顔ぶれ。一番多いのはランクルだが、それ以外にも多彩なモデルが自由に参加できるのもSAFカップの大きな魅力のひとつとなっている。
ちなみにランクル参加者の内訳をさらに詳細に見ていくと、40系4台、60系2台、70系ショート・ミドル7台、70ロング6台、79ピックアップ1台、78トゥルーピー1台、80系11台、200系1台、150プラド1台、という状況。ありとあらゆるランクルたちが同一コンディションの中で競い合う様子は、見ているだけでも非常に楽しく、そしてエキサイティングだ。
難易度の高いセクションに苦戦するエントラント
当日の天候は晴れのち曇りで、路面は少し湿り気はあるものの、ほぼドライといっていい状況。コンディションは良好ながら、コース設定は全体的にかなりの高難易度だ。SAFカップ主催者が設定した今年のコースはショートターンを強いられる箇所も多く、まるでロングホイールベース車を挑発するかのよう。もちろんショートホイールベース車に対しても甘くはなく、減点対象となるリバースギアを使わざるを得ない状況に追い込まれるエントラントが大多数だ。さなげアドベンチャーフィールドを知り尽くしたSAFカップ主催者によるコース設定の妙がいたるところに仕掛けられている、といった印象だ。
そして見事にクリアしたドライバーには自然と拍手が湧き起こる。4WDトライアル競技の面白さの本質は、競争というよりも『走破する喜び』であることがよく分かる。
SAFカップ2021の覇者はパーフェクト達成!
午前と午後で合計4つのセクションをすべて終え、総合優勝を果たしたのは、63台の参加者中唯一「減点ゼロ」のパーフェクトを達成したショートクラス(ジムニー)の鈴木公一氏。総合二位はミドルクラス(ランクル70)の上野和幸氏、総合三位は同じくミドルクラス(ランクル40)の西岡知朗氏となった。
開催は今回で27回目を数え、いまや全国の4WDトライアル競技ファンに広く認知されているSAFカップ。昨年に引き続きコロナ禍という状況下での開催となり、一般見学者の入場を制限するなど様々な感染症対策を施した上での開催となった。主催者と参加者の双方が、4WDへの情熱を通じてお互いに支え合ってきたからこそ、困難な状況でも開催を続けることができる最大の理由と言えるのではないだろうか。
そしてぜひ来年も、超難関セクションに挑む参加者たちの勇姿を楽しませて欲しい。もちろん、「我こそは」と思う方の初参加も大歓迎だ。情報収集と愛車の整備を入念に行って、4WDのポテンシャルを限界まで試す醍醐味を味わってみてはいかがだろう。